「久高島の旧正月 その2」
風雨と共に船は結構揺れた。
でも久高に着いた時ちょうど雨は止んでくれた。両手に荷物の私は傘を差す手がない
のでありがたい久高の神様ありがとうございます。
船を降りて港で荷物の出し入れを手伝っている西銘さんに挨拶をして、向かうは「西銘荘」西銘っていう名字は久高でかなりポップである。西銘荘のおばーも「西銘のおばー」
では誰だかわからないので「ハナおばー」と名前で呼んだほうがわかりやすい。そん
なハナおばーのところにまた来てしまった。
「このおばーの魅力に引きつけられるリピーターは多いらしい。」と出会う前から噂
のおばーであったが、逢ってみて、やっぱり私もファンになってしまったのだ。
西銘荘に着いたが、正月だというのに予約していないという事もありちょっぴり弱気
であった。
「こんにちは〜明けましておめでとうございます!!」と台所の勝手口に呼びかけると
「はいは〜い」と二人の声がした。
ハナおばーの他にもう一人、年齢的には「おばー」とまではいかない、おばーとよく
似たおばちゃんがいた。
「はい〜こっちの部屋だけど〜」おばちゃんに と言われた。
「いえ。違うんです」
「北海道から来た予約の人ね?」
「いや、あの、予約じゃないんです私。」
「はー?」
「今日、来たんですが泊まるところ決めていなくて・・」
「あいっ!困ったね〜。今日は予約で2人泊まるからね・・あれー予約してなかった
の〜」
久高の民宿は「西銘荘」と「ニライ荘」の2軒だけ。あとは交流館という施設が泊ま
れるらしいが、この日はどこも満室だという話・・ハナおばーも心配して出てきた。おばーはとても元気そうだった。嬉しさと懐かしさがこみ上げる。
「明けましておめでとうございます」と新年の挨拶をし、そして思わず聴いてみた。
「ハナさん、去年の8月の祭りの前に泊まりに来ていた者です。が、覚えてられます
か?」
「顔見たことあるかもしれんね・・・・。今日泊まるところないの?」
「すみません。予約せずに来てしまったもので。。無理でしたら他を当たります。」
「困っているでしょ。どこもいっぱいだと言っているし・・」
どこもいっぱいだということはこの時知らなかったのだが、私は一番泊まりたいとこ
ろに来てしまったのだ。なんだか、おばーの方が困っていて申し訳なかった。でも、おばーはその後すぐに
「女の子なら何とかなるはずよ。今日の予約の人達も女の人2人だしね。」と言って
くれたのだ。
「え!いいんですか?」
「狭いかもしれんけど我慢できる?」
「全然平気です!」
「じゃ、荷物重いでしょ。早く中に入れて。」
と笑顔で迎えてくれた。ありがたい!!
かくして私は、まんまと西銘荘に泊めてもらえることになったのだが、後で聞いた話。
一週間前に電話での予約を断っていたらしいです。
電話した人ゴメンナサイ!!
|