「久高島の旧正月 その1」
旧正月の朝が来た。
曇っていたが空の所々に日が差している。
いつものように寝起きが悪い私ではあったが久高に一番の船で出発するため、学校に
行く知子と一緒に重い荷物を引きずってバス停に行った。より身軽になりたくて荷物
の一部を知子の家に置かせてもらったのだが、三線とカメラがあるためどうしても身
軽になりきれない。でも、しょうがない。
マンションの前で知子と別れる知子が別れ際み「おかまいできなくてごめんね〜」と言ったので「ほんとにね〜」と
言っておいた。内心、大変なときに泊まりに来てゴメンなぁとは思っていたが・・とりあえず、久々に知子に会えて嬉しかった。テストの検討を祈る!
さて、バス停でバスを待ってみるものの、一向にバスが来ない。10分すぎても来な
い。とても不安になって通りすがりの人に「安座間港行きのバスはここで良いんです
よね?」と聴いてみるが「そのうち来るよ〜」とかそんな感じ。そのうちっていつな
んだろう・・ちょっと困った。
そんなとき目の前にタクシーが一台通り過ぎた。そしてバス停の先に止まった。客引きかな?う〜ん結構距離あるからタクシー使うと痛いな。でもバス待っていたら
一番の船に乗れなさそう・・どうしようかな。 と思っていたところにそのタクシー
の運転手さんに声をかけられた
「おねぇちゃん!久高に行くね。」!驚いた。
このおっちゃんはエスパーか!バス待っているだけなのにどうして行き先
わかるんだ?!
「はい。そうです。そうですけど・・」と狼狽えていると、おっちゃんは
「じゃー、港まで乗っけるから荷物もっておいで〜」
「ええ〜っと、タクシーですよね。いくらくらいかかるんでしょうか?」
「お金はいらないさぁ〜。」
「は?」
「おじさんも久高の人よー。今日は仕事休んでお祝いに行くわけ。あんたも旧正月見に来たんでしょー。三線持っていたからねー、多分久高に行くはずって思ったわけ。ついでだからさー乗りなさいね〜」
「そうだったんですか!すごく助かります!バスが来なくて困っていたんです。」
ラッキーな私。
このおっちゃんは西銘さん。今は那覇でタクシーの運チャンをしていて、久高に帰るときは島に渡りそうな人達に声をかけては乗せて行ってあげるらしい。なるほど・・と私はようやく納得した。しかし、なんていい人なんだ!この西銘さんから沖縄本島では久しぶりに古き良き沖縄を感じさせてもらった。西銘さんは今日は日帰りらしいが年に一度の行事とあってとても嬉しそうだった。70歳になると言っていたがとてもそうは見えない。50前後とも見える血色の良さ!
車の中でも昔の久高のことや旧正月の行事の話をしてくれた。
おかげさまで出航30分前に港に着いた。送ってもらった西銘さんにお礼を言うと、福々しい顔でにっこり笑って「じゃ、あとは島でね〜。」とだけ言って、あとは知り合いのおじさんと話をしていた。
カッコイイな〜。
船のチケットを買って、キレイに日が差してきた海に目を向けると 空に虹が見えた「わ〜」と思わず声が出てしまった。その虹は段々大きくなって、船が出る頃には大きなトリプルレインボーになった。船内に居たため写真はあまりキレイに撮れなかったのだが周りの人もえらく感動していた。
なかなか良い旅になりそうな予感。
船内は記者関係の人がたくさんいた。久高の旧正月を取材するためだろう。
久高にいる家族や親戚に挨拶しに帰るだろう人達もたくさん乗っていた。きっと今日は賑やかになる野だろう。
民宿大丈夫かな。。とふと不安になった。
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